ガラスでなければできないことを
大学院 美術研究科
植村宏木さん
美術の中でガラスという分野はもっとできることがあるんじゃないか、可能性がすごくあるんじゃないかと思っています。私は、北海道で生まれ、ガラスがやりたくて秋田へ、美術の勉強を通して興味の幅が広がり、瀬戸市新世紀工芸館を経てここにいます。秋田にいた頃から、ガラスでできることは何なんだろうかとを考えつつ探しながら場所を移してきました。ガラスは、焼き物とくらべると歴史が長いわけではありません。まだまだこれからだと思います。そういうことをじっくり考える時間が欲しかったんだと思います。
ガラスは、何となく感じることができるけども実際に見ることのできないもの、例えば、空気や気配、あるいは時間の感覚や記憶といったものを、表現するのに適した素材ではないかと思います。見えないものをあやふやな立ち位置で表現することに適していると考えています。溶けたガラスは、自在に形を変えることができ、水で形作れるものであればガラスでも作ることができるといわれています。扱いにくい素材のように思われますが、間接的ですが手で形を変えることもできますし、重力や遠心力を使って自然な曲線を作ることのできる素材です。技術を修得するために時間がかかりますが、最近になってようやく作りたい形をどうやって作っていけばいいのかだんだんわかって来ました。